

ササユリは中部から近畿・中国・四国の各地方と九州・宮崎県の一部でj自生する日本固有のユリの原種で、「古事記」にも登場するほど日本人には愛されてきたササユリ。梅雨空の下に咲くササユリの透明感のある薄桃色の花は、ほのかな匂いを醸し出し楚々として美しい。ササユリは、山地の半日陰を好み、寒さには強いが高温や過湿には弱いと言われている。具体的には、西日が強く当たらない場所で、株元は日陰で涼しく、風通しのよい乾燥しない所を好む。山地の笹などの茂みの中で生育していて、花を付けていないと笹と区別しづらい。それほどササユリの葉は笹の葉に似ている。


「笹百合」の名はこのあたりから来ているらしい。ササユリは、か弱いだけではない。見掛けとは裏腹に実に気むずかしいのだという。自らの個性を押し通す融通の利かない頑固者といった風で、自らが好む環境だけを選び、環境に順応しようとはしないと言われている。山で見つけたササユリの球根を持ち帰り、鉢植えにしても花が咲き始めてからの球根の寿命は2~3年、自生地のような条件の整った環境下でも長くて5~6年程度と言われている。ササユリが好むような好環境は、人の手が入らない自然のままの山地では滅多にないので、当然、ササユリの自生地は少ないということになるのだ。


ササユリが球根を持ち帰り、鉢植えにしても駄目になる原因は鉢よりもその種自体の性質にあることが多いらしい。ユリは球根植物だが、球根自体の寿命が短い種もあり、ササユリもその1種でウイルスに特に弱いといわれている。こういった種類は基本的に実生で株を更新していかなければ種類としての維持は難しいようだ。実生は秋に種を採り、蒔くのだが、地上に発芽するのは翌々春になり、開花は早くて4,5年後になってしまう。つまり、種蒔きしてから球根が寿命を迎えるまで7~10年ということになるというのだ。このようなササユリの生命サイクルを知れば、掘り上げた球根を持ち帰っても花が咲くのはたかだか2年で球根も消滅する。だからといって、「実生」による増殖は採種可能なところまで成長させるための環境作りや気の遠くなるような時間を想えば自然に自生し始めた環境を大切に見守るのがベストということに落ち着きそうだ。因みに、ことしの三草山麓では、今までになく、楚々とした薄桃色の花がそこかしこで観られることになりそうな気配がある。
◆ササユリ(ユリ科 ユリ属)(
植物生態研究室(波田研))
◆ササユリの実生(
ササユリの栽培と種子繁殖法について)
↓オモロナイ
!写真がイマイチ
!・・
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