

二百十日の朝、時間潰しに立ち寄った空き地の片隅でツユクサの花を撮った。珍しくもない露草ではあるけれど、「されど露草」でもあるのだっ

た。小止みの雨の中でファインダー越しに観る露草はコトに美しい・・・この花のもつ不思議な構造や、その仕組みもさることながら雫に濡れたその佇まいは、よく歌に詠まれている「儚さ」も漂わせ、それらしく見えてくるから不思議だ。よく観ればハナアブなど小さな虫がひっきりなしに訪れている。露草は異名の多い植物で、「月草」以外にも「青花」「縹(はなだ)花」「蛍草」「帽子花」「かまつか」「碧蝉花(へきせんか)」など様々なニックネームで呼ばれたという。 青く澄んだこの花の色は、アントシアンとマグネシウムが結びついてでき、水溶性で、洗い流せるので藍染めの下絵用として古くから使われているらしい。朝露の降りる頃に咲き、日の出とともに花はしぼんでしまう。早朝に咲くので、花粉を媒介してくれる昆虫も少なく、露のため風でもあまり飛ばないので、花の終わり頃になると、前に突き出たオシベが巻き戻り、メシベに接して同花受粉をする。これが露草の子孫繁栄戦略なのだった。万葉集にもよく詠まれている「月草」、こんな歌を拾ってみました。
原文: 朝露尓 咲酢左乾垂 鴨頭草之 日斜共 可消所念
よみ: 朝露(あさつゆ)に、咲きすさびたる月草(つきくさ)の、日くたつなへに、消(け)ぬべく思ほゆ
意味: 朝露(あさつゆ)をうけて咲いていた月草(つきくさ)が、日が暮れるにつれてしぼんでゆくように、あなたを待っている私の心も消え入りそうになります。
原文: 月草之 徙安久 念可母 我念人之 事毛告不来
よみ: 月草のうつろひやすく思へかも、我が思ふ人の言も告げ来ぬ
意味: 露草(つゆくさ)のように変わりやすいからでしょうか、私が想っているあの人がなんにも言って来ないのは。
◆ツユクサ(ツユクサ科) (
植物形態学・福原のページ)
↓オモロナイ
!写真がイマイチ
!・・
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