

夕菅(ゆうすげ)、夕方暗くなりかけると咲き、翌日にはしぼんでしまう。ユリ科ワスレグサ属。花の時期 7~8月。夕方から開花し翌日の午前


中にしぼむのでこの名がある。前々日の午後、あてもなくやって来た三草山麓・・・昭和池の畔で十数本のユウスゲを発見、レモンイエローの花は涼風に揺れ、ほのかな匂いに華やぐ夏の夕暮れ・・・。早朝のユウスゲを観に行こう・・・というピュア・Cさんと、朝五時過ぎに再度やって来たら数は少なくなったけれど、まだ咲いていた。露に濡れた花に近づくとかなり匂う。「この匂い、生娘の匂いやない・・・コレは愛人の匂いやねぇ・・・」ピュア・Cさんが言った。そうかも知れん・・・確かにそんな匂いがする。万葉の昔は、キスゲ属、特に、ヤブカンゾウは「忘れ草」とよばれ、「萱草(ケンソウ)」と書いたらしい。これを食えば、憂いを忘れ、あるいは酔ったようになるという、忘憂草。忘れ草を身につけていると忘れたいことを忘れられると言われていたらしい。
「忘れ草 我が下紐(したひも)に付けたれど 醜(しこ)の醜草(しこくさ) 言(こと)にしありけり」万葉集「大伴家持」の歌・・・歌の意味は
『忘れ草を身に着けていたのに、その名前ばかりで少しも忘れられない・・・』といって、愛しい人が忘られないのを花のせいにしている歌なのだった・・・。


朝早くから艶めかしい色香に酔ったか夕萓(ゆうすげ)妄想は膨らむばかり、夜咲く花は香り高く美しい。その匂いで虫や人を惹きつける・・・“三草古道”を登り、山頂手前のビューポイントで酎ハイにオクラのお好み焼きという超ゴーカメニューの朝食を喰っていたら、縄師・Kさんより電話・・・すぐに上がってくるという・・・ユウスゲな日は、ヤンキー老人「トリオ“212”」の揃い踏みで始まるのだった。縄師・Kさんと合流、山頂で休憩後、炭窯跡コースを下った。久しぶりに歩くこのコースも歩く人が増えたようで、しっかりと踏み込まれた道は、よく整備され、クッキリとして歩き易くなり、最初の頃とは見違えるようなコースになっていた。このコースが消えることはもう無いだろう。古道バイパス分岐辺りの木陰で昼食と雑談に花が咲き、時の過ぎるのも忘れていたら赤い大きなザックを背に、なにやら小道具をからだ中に巻きつけた


り、ぶら下げたり・・・かなりマニアックな出で立ちの男がやってきた・・・挨拶を交わし、ザックを下ろし始めた男の躰から蚊が次から次へと舞い上がる・・・不思議な光景に見とれていたら、男は話し始めた。これからのアウト・ドア・ライフのための訓練をやっていると言いながら小型のPCから、ありとあらゆる小道具の話に至るまでひたすら話し続けてくれる好男子、“Mr.こうぼ”氏はコンパクトカメラと三脚を取りだしヤンキー老人達の記念撮影までやってくれるというのだ。ユウスゲな日に現れた“夕萓の君”・・・は“拘りの人”でもあり、素晴らしい人なのだった。楽しい時間は過ぎるのも早い・・・バイパスを経由古道から下山、東屋でコーヒーブレイク。ココでもマニアックな話の連発に、時の過ぎ行くままにユウスゲな日は終わろうとしている。池の畔の花ゆらす涼風に、妖しい色香を醸し出す“夕萓のとき”・・・レモンイエローの心焦がし燃え盛る炎は夏の色・・・それにしても夕萓を詠む恋歌の少ないことには驚いた。万葉集には「大伴家持の一首」のみとか・・・挙げ句の果てに探し出したのが「古今和歌集802・素性法師」の歌
忘れ草 なにをかたねと 思ひしは つれなき人の 心なりけり(忘れるという忘れ草は、何を種とするのだろう、それはきっと「つれないあなたの心でしょう」)・・・・・素性法師 古今和歌集 802
これとてエロボケ老人のイメイジする「夕萓の恋歌」にはほど遠く、なにかないかと探していたら・・・あった!
「あしアト」の常連、秋の月さん・・・健気にも、熱く心焦がす“夕萓な女歌”・・・急遽ココに転載させて貰った・・・秋の月さん、ありがとう!
“ 君慕う ひと夜の逢瀬 忘れじの 華ぐわしき香よ 夕萱の池 ”・・・
秋の月夕萓な日の夕萓の君に乾杯!!
↓オモロナイ
!写真がイマイチ
!・・
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