

山麓まで来ると立ちこめていた霧がウソのように消え、谷間の向こうには怖ろしく青い空が現れた。妖犬“アキコ”と山歩がしたくなってまたコノ山へやって来たのだった。支度を整え口笛を吹き、数回呼んでみた・・・聞き耳をたてアキコの疾走する足音を待ったけれど、山間の集落は静寂そのもの・・・畔を被う霜がキラリと光る。先客の誰かと既に山へ入っているのかも知れんなァ・・・何処かでまた遇えることを期待しながら林道を歩きはじめた。前夜の雪で薄化粧した林の陰で、枝先の小さな赤い実を採ろうと背伸びし、絡んだツルに手を伸ばしている女が居た。どこかで見たような気もするが・・・


なんでも「この赤い実をどうしても食べてみたくなって・・・」と言うのだった。「これヒヨドリジョウゴで毒を持つ実やと知ってるのか?」「・・・それならなお食べてみたい、こんな小さな実一個ぐらいどうって事ないでしょう!?」・・・いうが早いか美しい赤い実を一粒口に入れた。「チョット待て!今、オレも喰ってみるから・・・」とアトを追った・・・「ウエッ、うううっ・・・」「うが~ッ!」・・・苦い!かなりエグい味が口の中に染み渡り思わずタネを吐き出した。女は思い詰めたように「ニガイけど私のカラダには効くかも知れない・・・」と消え入るような声でつぶやくのだった・・・「そうか、目には目を、毒には毒をということもある・・・少し薄めよう・・・」と間髪を入れず、女の口に舌を差し入れニガミを絡み合わせた。女は戸惑いながらも、溢れるニガミを喘ぐように呑み込んでいく・・・“必死”なのだった。 夢かうつつか・・・またまた毒ある女・・・

「まぁ、美しい!」女がゆび指す先には
ミヤマシキミの赤い実が・・・「この実にも毒があり、激しい痙攣作用があるらしい・・・コレも・・・」と振り返ったら、居るはずの女の姿が見えない。消えた??・・・妖犬アキコも現れず、チョットした迷い道に入り込み疲れたらしい。。。因みに、その昔ミヤマシキミについて貝原益軒先生が『大和本草』に「毒アリ煎ジテ蔬菜ニソソゲバ虫ヲコロス」と書いておられるようで、昔は農薬として用いていたという話もあるようなのだった・・・。
凍てる山 赤い実ばかりの 白日夢・・・淫蕩火◆ミヤマシキミ 雌雄別株で雌株には赤く熟す丸い実が出来ます。
この実に激しい痙攣作用があります。中国では、ヒヨドリジョウゴを白英(はくえい)、全草を乾燥したものを生薬名で白毛藤(パイマオティン)と呼び、解毒、解熱、利尿に用い、また、ガンや急性黄疸型肝炎の治療に用いています。
中国の古書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」では、「胃腸をよくし、心を鎮め、長く服用すれば、体を軽くし長寿を保つ」との記述があり、本草書では解熱、利尿、解毒薬としています。
(ヒヨドリジョウゴ,鵯上戸ナス科ナス属 E-yakusou.com )
↓オモロナイ
!写真がイマイチ
!・・
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