
「啓蟄ケイチツ」という日がある。今年は3月5日がその日で、大地が暖まり冬眠をしていた虫たちが蠢き、穴から出てくる頃、ということらしい。3月1日、初夏を想わせるような陽射しに誘われ、海の見える山を歩いていたらチョウが現れ、同じ日に2種目撃・・・いずれも成虫で越冬したチョウなのだった。成虫で越冬するチョウはさほど多くはないけれど、比較的よく見るのはタテハチョウの仲間が多いようで、アカタテハ、キタテハ、ルリタテハ、ヒオドシチョウなどでシジミチョウではムラサキシジミが成虫で越冬する。蝶は変温動物で体温が上がらないと活動できず、羽を広げて日光浴をして温まってから飛ぶ・・・地面に張りつくようにして羽を広げているヒオドシチョウをよく見かけるのはそのせいか。
ヒオドシチョウ(大阪市とその周辺の蝶)


植物を餌にする昆虫たちにとって、活動量に見合うだけの餌のない冬場に活動を停止するのは理にかなっています。昆虫達が休眠状態に入ると、昆虫の体の中では、貯蔵エネルギーであるグリコーゲンという物質が、グリセリンとソルビトールという物質に分解されます。
グリセリンはご存じのように、自動車の不凍液に使われる物質で、低い温度でも凍りません。つまり、昆虫たちはこれによって耐寒性が増して、冬の寒さをしのげるわけです。
休眠の状態にある昆虫にとって、いちばん怖いのは、冬の低温より乾燥です。卵や蛹で越冬する昆虫は、厚い殻で乾燥に対応できているものが多いのに対して、幼虫や成虫で越冬する昆虫たちの最大の敵は乾燥です。ということは、冬場に昆虫を探す場合は、乾燥しにくい場所を探せばよいということになります。石の下、木の皮の下、落ち葉の下などがその候補です。
(蝶:蝶の越冬)
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