竹似草という植物がある・・・

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タケニグサタケニグサ 道路の法面や山崩れ跡のような地表の不安定な所に、いち早く進出する植物群を先駆植物
タケニグサタケニグサと呼ぶらしいのだが、タケニグサはその代表的な植物で、山崩れ跡、あるいは町中(まちなか)の造成地等にしばしば顔を出し、その大きく異様な姿で人目を惹くのだが、雑草が生い茂り始めると、その姿を消してしまうのが先駆植物の常なのだ。大きくなると2m近くにもなり、菊の葉を大きくしたような葉を付け、日本の植物のようには見えないので昔の人はチャンバギク(占城菊)と呼んだ。 チャンバとは現代のベトナム周辺にあった王国の名前なのだ。日本人の好みに合う植物ではないが、海外では園芸植物として珍重され、これほど国内外で評価の分かれる植物も珍しい。名前の由来は諸説あって、竹似草と書いて中空の長い茎や全体の様子を竹に見立てたとする説や、竹煮草と書いて竹細工職人が竹を軟らかくする為に、この草を入れた湯で煮たとする説があるが、後者の説は怪しいとするのが一般的になっている。また、ササヤキグサの別名もあり、コノ植物の名については並のコダワリではない◆タケニグサというサイトに惹き込まれ、しばし、クギ付け状態になってしまった・・・中でも、播磨地域に関わりのある「タケニグサの呼び名」についての記述が興味深く一部抜粋、転載させていただきました。

・・・次が、長野(北佐久)に残るドクグサという方言のことである。この植物(ケシ科)がアルカロイドを含み、強い毒性を持つことは前に触れた。毒性に注意を促すために、植物名に怖い「オオカミ」の語を冠したと思われる一連の方言がある―――オーカミグサ(播州)・オーカミオドシ(周防)・オーカメタオシ(兵庫(播磨))・オーカメダオシ(芸州)がこれである。これについて「野草雑記」は次のようにいう。

私などの郷里、播磨の一部にはオホカメダオシという方言がある。オオカミがこの草を食うと酔うて倒れるから、こういう名が生まれたように説明する者もあるが、・・・狼が草を食うということが既に考えられず、<中略>もしタケニグサの故郷が外国であり、または早くから現在の地であったならば、こういう名は恐らく発生しなかっただろうということである。・・・この異様な植物はもと狼でも生息しそうな地にあって、予め今日の郊外居住地に備えていたのである。

要するに著者は、タケニグサが山間部に発祥し里に下りてきたと見る。狼の名がつくのも、この草の発祥地が山間部である証だと考える。しかし、これは考えすぎであろう。単純に考えてよいのでないか。だが、これは一つの問題を提起する――なぜタケニグサが僻地の植林伐採地にいち早く侵入できるのか。

この植物の種子には、白色小塊のAril(蟻食物)が付着している。蟻がそれをわが家へ運び込み、その蟻食物を食した後、その不要の種子を巣外に運び出すわけだが、真にその多量な種子に較べて仔苗は、そう沢山に生えなく、種子の多量は廃物となっているわけだ。   「植物一家言」(牧野富太郎、北隆館) から

タケニグサの種子は蟻によって持ち運ばれ、その蟻のいる場所と草の生えている場所はみごとに一致するという。すなわち、多くの場合、種子の運搬者は蟻だと考えられている。そうだとすれば、翌年の発芽時期に間に合うように、遠くはなれた伐採地まで、蟻はほんとうに種子を持ち運ぶことができるのだろうか。常識的な答えとしてはノーである。しかも、鳥がこの草の種子を運ぶとも考えにくい。

答えは、こうではないだろうか――この植物の種子は、われわれの予想超えて長い寿命を持っている。種子は毎年少しずつ遠方へ運ばれながら、生息領域を拡大してゆく。こうして長期間かけて種子は拡散してゆき、その先々で発芽の機会が熟するまで待機する。そうして、植林伐採などで発芽の条件が整った場合に、初めて出芽する――それほど長く、種子は生き延びているのである。

なぜ種子が長生きできるのか。しかも、忘れるほどの長期間の後に、タイミングよく芽吹きできるのは、なぜか。タケニグサは、いまだにヴェールに覆われたままの植物である。         (和泉晃一)





◆タケニグサ(竹似草)ケシ科タケニグサ属=松江の花図鑑=


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